こんな夜もある

中学生の後半、14、5歳の頃、「悲しみよこんにちは」に出会った。
ちょうどツルゲーネフの「はつ恋」やアンドレ・ジッド「狭き門」、
モーリヤックの「テレーズ・デスケイルゥ」など読んでいた私はサガンの虜になり、
次々とその著書を読み漁ったものだ。
1954年「悲しみよこんにちは」でデビューしたフランソワーズ・サガンは18歳。
そして「『老いた少女』のように死んだ」と関川夏央氏は評する。
夕刊で彼女の訃報を知った夜。
たまたま立ち寄ったCDショップで、
ジャニス・イアンの「ラブ・イズ・ブラインド」を耳にした私は
「the 70’s 2」というアルバムを買った。
思いがけず私は私の18歳を懐かしむ。