不思議な夢を見た。
小さなトランクに入るだけの荷物を持って、
戻りたい自分の過去に戻る夢だ。
受験時代が一番辛かったので、それより前には戻りたくない。
大学合格の日に戻りたいと思った。
いつのまにかトランクはさらに小さなアタッシュケースになっていて、
これに入れたいモノはと考えるうちに夢から覚めた。


単なる話題で、友達や家族と「過去に戻れるとしたら何歳の頃に戻りたい?」
という話しはしても、それはただの話のネタだった。
明日死んでも悔いはないようにさんざんわがままに生きてきた私は、
今まで本気で、あの日に戻れたら…と願うこともなかったので、
どうしてこんな夢を見たのか不思議だ。
今の記憶が残ったまま戻れるなら別の人生はほんの少し良く送れるかも知れない。
でももし記憶が、過去に戻った時点のそれまでのものしかないのなら、
どんな人生を送ろうが、出会う分岐点でどの道を選んでも同じだろう。
楽しいこと嬉しいこと、辛いことや哀しいこと。
それらはどれほど愛しい家族に恵まれようが、
どれほどお金持ちになろうが、必ず両方あるのだと思う。
あの日に戻れたら…などと夢見たり後悔する時間があったら、
さっさとお洗濯して気持ち良くなった方がよほどマシだとベッドから起きた。