時の記念日

誕生日よりも結婚記念日よりもクリスマスよりも、
私はこの「時の記念日」というのが一番好きだ。
「とき」の語源には「疾く」「解く」「溶く」など諸説あるそうな。
いずれも「とき」の概念を言い当てているようで面白い。
若い頃は分からなかった「とき」の成せる技も、
この年になると「なるほどなぁ…」と思うことができる。
例えば何か辛いことや嫌なこと、困難なことがあって、
その渦中にあるときは、時はまるで止まったように感じる。
しかし時は確実に流れ、癒しをもたらす。
「とき」は生命の営みと、それに伴う様々な痛みを癒すためにある。
ちなみに私は何かシンドイことがあると「待てば海路の日和あり」と念じる。
ついうっかりミスをやってしまったとき、
ゴメンと謝っても自己嫌悪のモヤモヤが拭えない場合もあるが、
モヤモヤが通り過ぎるまでむやみに動かない方が良いと知ったからだ。
焦って先走りそうなとき「果報は寝て待て」と自分に笑いかけてみる。
待つこともまた時の成せる技だと思う。