朝のニュースでお花見の話題があった。
夜の花見はまだ寒いとのことだったが、本州はもうそんな季節なんだなぁ。
そんな思いのまま日中過ごした後、
朝日新聞夕刊「ニッポン 人・脈・記 桜の国で⑤」を読む。
作家の城山三郎氏は17歳で特攻隊員として海軍に入った。
終戦前の数ヶ月間、既に乗る戦闘機さえなく、水中特攻という部署に配属。
戦後訪れたアメリカの航空博物館に展示されていた「桜花」(日軍戦闘機)の傍らに、
「BAKA BOMB(バカ爆弾)」という文字を見つけ体が震えたという。
氏の若き日の詩『旗』。
−旗振るな 旗振らすな 旗伏せよ 旗たため 
  社旗も校旗も 国々の旗も
  ひとみなひとり ひとりには ひとつの命
  旗伏せよ 旗たため 限りあるいのちのために
「旗は個を消してしまう…この旗は桜に相通ずる」と城山氏。
もう一人、歌人岡野弘彦氏は4月13日東京で空襲に遭い、
満開の桜の木々が炎上する様を目の当たりにした。
この空襲によるあまたの死者を積み上げて焼いた5日間。
氏は自分の死臭を放つ軍服に桜の花びらが散るのを見て思う。
「俺は一生桜を美しいなどと思えまい…」。
岡野氏は「私の戦後は、歌人として桜と和解していく歳月でした」と語る。
(以上抜粋)
私は春待つ気持ちでただ美しく桜を思うだけだが、
桜の「潔い」という言葉の重さに感慨を馳せる人々がいることも忘れてはならない。


3月最終日、我が家の庭はまだ半分ほど雪に覆われている。
桜はまだまだ先だが毎年真っ先に咲く福寿草が、
この雪の下で目を覚ましかけていることだろう。