神様は見ている?

数日前、飲酒運転の車に追突され海中に転落した車の中から、
母親が4回も海にもぐり3人の子供を助けようとした事件があった。
父親は母親によって救い出された子供たちを、
立ち泳ぎしながら両脇に抱きかかえていたそうだ。
しかし子供たちは助からなかった・・・
両親の無念さはどれほどだったろうか。
一方で子供による自宅の放火、家族殺し、級友の殺害、
親が子を虐待、死に至らしめるなど殺伐とした報道が続く。
事件の遠因に「報道」がありはしないか・・・と、ふと感じる。
事件が起こるたびにセンセーショナルに取り上げはするが、
犯人のその後については多く語られることがない。
罪を犯した人間がどうなるのか…
自分のことしか考えられず犯行に走る者に想像できるはずもない。
連日のように報道される事件のうわべだけをニュースで知るだけだ。
これが最後の最後、踏みとどまろうとする気持ちに
「自分だけではない」という悪魔の囁きとなっていないか。
その結果どうなるのか、どうなったのかは自然消滅している。


数年前、店員さんのほとんどいない大きな本屋に立ち寄った折のこと。
私の傍らを、汚い物をつまむように学生服の後ろ衿をつかまれて、
若い男性店員(アルバイトさん?)に引きずられて行く男の子を見た。
万引きである。
それを見て私はなぜか涙があふれて止まらなかった。
この子に大きな罪悪感はなかったかもしれないが、
親はどんな思いでこの子を引き取りに来るのだろうか、
などと想像してしまったからだろう。


子供の頃、親がよく言っていた言葉がある。
「いいことも悪いことも全て神様は見ているんだよ」。
子供心にも恐ろしいと感じたものだった。
今は死語になったんだろうか?