編物

息子が2歳くらいのとき手編みを習い始めた。
週1回息子を母に預かってもらって、育児の合間の息抜きのような時間を過ごした。
カリキュラムに沿って直線編みのベストから始めた。
採寸してノートに製図を起こし、それを大きな模造紙に実物大に展開する。
ゲージを測り目数と段数計算をした後、実物大の製図に増目減目を書き込んでいく。
そしてようやく編み始めることができる。
家族のセーターも随分編んだが、そもそも家ではあまりセーターを着ない。
子供達は暑がるし、夫はチクチクする感じが嫌だと言っていた。
やがて私はトールペイントを始めるようになって編物から遠ざかった。
この春移動した夫の職場は建物が古く冬の寒さが厳しいと聞いて、
スーツの中に着られるベストを編もうかと思い立った。
しまいこんであった製図ノートを見ると最後に編んだのは1998年の日付だった。
あらためて夫を採寸してみるとこの8年の間に随分体形が変わっていた(笑)
それと同時に私の頭も随分呆けて、以前のノートを見ながらでなければ
製図の手順を思い出すことができなかった。
毛糸は当時編んだセーターをほどいて使うことにした。
一度編んだ物をほどくのはちょっと切ない気がしたが、
どうせもう着ないのだから新しく変身させてやろうと割り切った。
毛糸はほどきながら時々水のスプレーをかけてやる。
こうするとチリチリの糸がゆるやかに伸びてくれる。
ダンボールに入れた切込みにかけておいた糸端を上から順に巻いていくと、
新しい毛糸玉がいくつもできた。
これから少しずつ編んでいこうと思っている。