娘宛のDM

娘宛の郵便物が時折届く。
いろいろな専門学校や大学からのDMだ。
娘は亡くなる2週間ほど前の6月初め、進路説明会に参加した。
多くの大学や専門学校が1つの会場で入学勧誘を行うものだった。
まだ2年生なので希望者だけでよかったのだが、娘はその会場に赴いた。
そこでいくつかの学校の説明を受けたりアンケートに答えたりしたのだろう。
DMは娘がまだ存命中から届き始め、次第に数が増えていった。
最初の頃は不要なものとして捨てていたが、
そのほとんどが音楽関係の学校からのものだと気付いてから取ってある。
娘はバンドをやりたがっていた。
その道に進めそうな学校を覗いて会場を回る娘の姿が瞼に浮かんだ。
既に20通を超えたDMは娘の机に封を切られぬまま置かれている。
娘宛のDMが届くたび切ない思いにかられながら、
「また届いたよ」と娘の部屋に届けに行く。
多分、再来年の春まで、DMが届き続ける限り。