未来、現在、過去

朝日新聞朝刊の天声人語にドイツの詩人シラーの言葉が載せられていた。
「時の歩み」を「未来はためらいつつ近づき、現在は矢のように速く飛び去り、
過去は永久に静かに立っている」と詠じたそうだ。
私は思わずう〜ん…と唸った。
今の自分に照らし合わせて、何と的を得ている言葉だろう。


さて受験生もまた「ためらいつつ近づく未来」に思いを馳せ、
「矢のように飛び去って行く現在」を必死に駈け抜けていることだろう。
同じく朝日新聞の記事。
神奈川のある県立高校で茶髪、眉そり、ピアス、爪が長い、スカートが短い、化粧をしている
などの「裏基準」による外見的な理由で入試を不合格にしていたケースがあったという。
その高校は年間100人を超える中退者が出る「課題校」だったそうで、
この「課題」をクリアすべく入試者を裏基準で選定していた面は否定できない。
確かに外見はきちんとしていた方が印象は良いだろうし、
学業を真面目に継続してくれるだろうという期待も持てる。
だが人は学歴や見かけで判断できないという経験を私は持っている。
郵便局でパートをしていたときのこと。
9月から10月にかけては入学願書を持ってくるお客様が増える。
日本に名だたるT大宛の封書を持ってきた1組のお客様。
「大切な書類なので確実に届けてね」と誇らし気に差し出したのは母親だった。
当の本人である息子さんは母親の後ろにぼんやり立っている。
宛名が「○○大学行」のままだったので「こちら、御中にされた方が・・・」と言うと、
「あら、そうなの?だったらそうしてちょうだい」。
内心、常識ないな〜〜〜と思った(^◇^;)~
一方、市内の専門学校宛の封書を差し出したのは、化粧ばっちりでミニスカートにブーツ、
きれいに染めた長い髪と可愛いネイルが施された爪、ピアスの今どきの高校生。
封がされていなかったので「封をしてよろしいですか?」と聞くと、
「あ、ちょっと待って。もう1回だけ中を確認したい」と言う。
封筒の裏面に記載されたチェック項目を見て「これで大丈夫かな」と不安そう。
いよいよ封をする時、「あードキドキする」と呟いたので、
「ちゃんと宛名も御中に直してありますし、中のチェックも何度もされたのですから
大丈夫ですよ。頑張ってくださいね」と言うと「ありがとうございます!」とにっこり。
自分の書類を母親任せにした前者の学生さんは、これから先も書留の出し方を知らないだろう。
後者のお嬢さんは大切な書類を自分の手で出すという行為で、その時のドキドキ感も含め、
良い学びをしたと言える。


ちなみに麻生首相は「カップラーメンの値段は?」と聞かれて、
「400円くらい?」と答えたという。
首相のサイフは実にリッチ。
実際のの3〜4倍の金銭感覚が庶民の感覚と捉えているらしい。
こういう人に世の中を任せている現実が情けなく腹立たしい。
直に接しないと人間の本質など到底分らないものだと思う。