髪、光に映えて

昨日に続いて初夏のような陽気。
仕事から帰ると、夫と息子が炭を起こして焼肉の準備が整っていた。
娘の姿がないので、ある懸念から私は娘の部屋に直行した。
ベッドでスヤスヤ眠っている娘の髪が紅茶色に染まっていた。
「とうとうヤッタネ♪きれいきれい」と、その髪をなぜた。
飲み物を取りに来た息子に
「手伝ってくれた?大変だった?うまくいった?」と矢継ぎ早に聞く。
「自分の髪はできるけど、男と女では髪の質が違うからな〜」と
言っていた息子だが、結構満足のいく出来栄えだったようだ。
そして「とー(夫)、怒った?」と、一番の懸念を尋ねた。
「怒ってた」
「そっか…だよね。Mちゃん、泣いた?」
「いや大丈夫だったよ」
以前から夫には「Mちゃん、髪を染めるつもりだよ」と何度か伝えていたが、
「俺は許さん」の一点張りだった。
エムルは2月から宣言してたし、私はこの際だから気の済むようにと思っていた。
数日前、エムルが材料を買ってきたとき
「お兄ちゃんに手伝ってもらってね」と言った。
昨夜「明日なら手伝えるって言ってた」と聞いて、いよいよだなと(笑)
息子と入れ替わりに夫が「肉、焼けてきたぞ」と教えに来たので、
「怒ったんだって?」
「当たり前だ。全く何考えてるんだか」
「あの子、ちゃんと分かってるんだよ、あなたが怒る気持ちとか。
ま、人生の通過地点の儀式みたいなもんでしょ」
「俺は許さん」
そういう夫がロンゲでパーマをかけてる成人式の写真を思い浮かべる。
私の成人式のだって、チリチリパーマのヤンキー風(爆)
成人式(大人)なんだからどんな格好をしようが自由だろうって?
いえいえ逆に今にして見ると、とても大人を自覚してる姿とは思えない。
2つ並べて壁に飾ってみたら…と想像して思わず笑みが沸く。
再び娘の部屋に行って「ご飯だよ。バーベキューもあるよ」と、娘を起こした。
「怒られたんだって?」
「うん」
「泣き疲れて寝てるのかと思ったよ」
「違う違う」
「そかそか」
夫も多分分かって(言うだけは言っておかねばって感じ?)叱ってるんだもんナ。
私はクスクス笑って言った。
「とーの気持ちも分かるもんね」
「うん」
私がいない日に…と、ちょっと不安だったけど、何も心配なかった。
「染めるの大変だった?どう?気に入った?」
「満足満足。2時間かけてお兄ちゃんがやってくれた」
傾き始めた太陽の光に娘の髪が明るく輝く。
夫が作った10個のおにぎりもバーベキューも焼肉も4人でぺろりとたいらげ、
ワイワイとそれは楽しい夕食のひとときだった。
考え方は違ってもわだかまりを持たない…打ち解けた家族へ、また一歩。