狭間

昨晩夫の母から電話があり、それは嫁の私の誕生日を祝ってくれるものだった。
そして夏休みにエムルが遊びに来てくれるかの打診でもあった。
息子と娘は5歳違い。
夫と私の休みの兼ね合いもあり、息子が中学生になった頃から、
道北にある夫の実家には家族全員でなかなか訪れられない年月が過ぎている。
娘だけが春・夏・冬の休みに、一人で訪れる習慣が続いていた。
この春もピアスを着けた14歳の孫娘を快く受け入れてくれた義父母だが、
今回は「髪を染めたので、ご迷惑がかからないですか…」と伝えると、
義母の態度は一変してしまった。
「田舎なのでねぇ…お父さん(義父)に電話代わるから」と、
後は何も言ってくれなかった。
娘には「田舎なので、赤い髪の中学生は困るんだって」と、
義母が言いたかったであろうことをはっきり伝えた。
息子にもその電話の内容を話した。
と言うのは、義母が入院したとき見舞いに行った息子の髪は茶髪で、
義母が「驚いた」と言う言葉の端に、
周囲に対してバツの悪い気持ちを抱いた様子を感じていたからだ。
(息子だってまだ19歳なんだけど、
たった一人で産婦人科に入院してる祖母のお見舞いに行くのは、
もしかして勇気がいったかもなんだけどねぇ…)


私は『幸運にも』健康な子供達を産んで育ててきた。
義父母にとって自慢の孫と誉めてもらった。
それは一人ひとりの個性ではなく、周りの人たちと同じ姿形をして、
普通と言われる生き方をしていることに対して誉めてもらったんだろう。
もしも障害を持って生まれたら、どんな風に接してくれてただろうか?
私は義父母が好きだし敬ってはいるが、
二人の望むような「できた嫁」には、到底なれないでいる。
それというのも、自分の保身や嫌われないために意見しない人間に、
心から甘え親しむことが出来ないからだ。