『ガラスのうさぎ』(読書記録⑤)

高木敏子作、金の星社
当時小学校6年生から中学1年だった作者本人が経験した、
第二次世界大戦終末期を描いた作品。
作者は東京大空襲で母と妹2人を亡くし、
終戦わずか10日前に疎開先に迎えに来た父を目の前で失った。
復員した18歳の兄を頼りに戦後を生きることとなる。
人のことなど構っては生きていけない混乱の中で出会う、
見も知らぬ他人の暖かさもあった。
映画『蛍の墓』に感じたやり切れない思いをわずかに救ってくれた。
「あんなに優しそうなアメリカ兵が、ほんとうに爆弾を落として、
この東京を焼野原にしてしまったのだろうか。(中略)
一人一人みんな、良い人たちなんだ。
それなのに、国のためだと言って戦争したのだ」。
日本国憲法第二章に掲げられている「戦争の放棄」を、
決して書き換えたり、ましてや失うことがあってはならないと思う。